Spiritual Vibes

Spiritual Vibes

SPIRITUAL VIBES
Toy's Factory Records傘下のbellissima!レーベルには、竹村延和率いるSpiritual VibesやEl-Maloといった『Jazz Hip Jap』出身アーティストに、Silent Poetsが設立当初ラインナップされいていた。ある意味で、日本のアシッド・ジャズを発信するひとつのレーベルだった。本作は、1993年11月1日にリリースされたSpiritual Vibesのファーストアルバム。竹村延和(fl,ob,key)、野中紀公子(vo)、戸高一生(vib,pf)、歌門健治(ts)、川越智夫(ss)、本地ヨウコ(vln,melodica)、船戸博史(w.b)、中村岳(ds,per)、大里恒平(g)、土生健(tp)という10人による編成。竹村のDJプレイの際、フリー・スタイルなセッションから自然発生的に誕生したという。(竹村が率いたというには意外だが)レコードや外部からの音源を一切使わないバンド・サウンドを特徴とし、たどたどしくも囁くような女声ヴォーカルがあいまって独特の瑞々しさを感じさせる。その編成からはアシッド・ジャズの王道をなぞったようにも見える。だが、黒人音楽的なジャズ・ファンクではなく、あえてフリー的な要素をにじませた4ビートや変拍子のジャズにボサノバが採択されているだ。そこには「日本的」なものが感じられるが、竹村は「海外で聴いてもらいたいとは思わない」と間接的に否定している。「肉体的に黒人みたいになれないのは分かってるし、向こうのシーンをそのままやるっていうことは絶対にやりたくない」という発言は、オリジナリティの追求のあらわれか。矛盾するようだが、Weldon Irvine「De Ja Vu」の秀逸なカヴァー・センスはレア・グルーヴDJ的だと思う。
1. One Blue Moment
2. De Ja Vu
3. Hazy Moon
4. Bare
5. Hiding Place
6. Scheme Supreme
7. Forbidden Fruit
8. Best Drop
9. Instinct
10. To Feel Is The Key