2 x 2

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1989年度グラミー最優秀新人賞を受賞しながら「口パク」騒動のために剥奪されたスキャンダラスなグループ、Milli Vanilli。その実態は、ドイツ人プロデューサーFrank Farianのもと、Fab Morvan(パリ生まれのアフリカ系移民)とRob Pilatus(アフリカ系アメリカ人の父とドイツ人の母の間にニューヨークで生まれ、ミュンヘンで育つ)の二人のフロントマンとしながら、実際にはCharles Shaw、John Davis、Brad Howell、Jodie Rocco、Linda Roccoが歌うユニット。その経歴からアメリカのアーティストと思われがちだが、西ドイツから活動をスタートしている。1988年のデビューアルバム『All or NothingAll or Nothing』は独Hansaレーベルからのリリース。彼らの人気はまずヨーロッパで広まり、シングルではInnocenceと同じ英国Chrysalis/Cooltempoレーベルからリリースされている。こうしたヨーロッパでの成功を足がかりに89年、米Aristaからファーストアルバム『Girl You Know It's True』としてアメリカ・リリースするのだ。俄かに成り上がったサクセス・ストーリーは、複雑なユニット構成に軋轢を生んだということなのだろう。スキャンダルの後、「影武者」だった者たちはReal Milli Vanilliとして、フロントマンの二人はRob & Fabとして再デビューするものの、成功のステップと同じように転落もまた急激、その勢いを押しとどめるべくもなかった。ディスコ・サウンドブラック・コンテンポラリーを印象づけるサウンドのなか、少なくとも「Girl You Know It's True」はグラウンド・ビート的でもある。けれども、それはSoul II Soulより以前の曲であり、ユニットのコスモポリタンな性格を考えると、グラウンド・ビートが西インド諸島からの英国移民のアイデンティティ・ミュージックと決めつけるのは早計なのではないかと思われる。ハイブリッドなダンス・ミュージックが、すでにここにはある。
1. Can't You Feel My Love
2. Boy In The Tree
3. Money
4. Dance With The Devil
5. Girl I'm Gonna Miss You
6. Baby Don't Forget My Number
7. Dreams To Remember
8. Is It Love
9. Ma Baker
10. Blame It On The Rain (Club Mix - Long Version)
11. More Than You'll Ever Know
12. Take It As It Comes
13. It's Your Thing
14. Dreams To Remember (Remix)
15. All Or Nothing (Club MIx)
16. Baby Don't Forget My Number (Remix)
17. Girl I'm Gonna Miss You (Remix)
18. Girl You Know It's True (N.Y. Subway Mix - Long Version)