Set the Controls for the Heart of the Bass

Bass-O-Matic

Set the Controls for the Heart
アンビエント系エレクトロ・サウンドを手がけることでその多才ぶりを知られる、1956年生まれのイギリス人Willam Orbit(William Wainwright)。Bass-O-Maticは、彼による謎多きプロジェクトである。Orbit自身はニューウェイヴ・バンドTorch Songに在籍しながら、87年にファースト・ソロアルバムとアンビエント・プロジェクトであるStrange Cargoのアルバムをリリースしている。もっとも、彼の活躍はMadonnaやPrince、the Human League、Erasureといったメジャー・アーティストのプロデュースやリミックスを手がけたことで有名だろう。また、Guerilla Recordsレーベルを創設したことでも知られている。
アルバム・タイトルはPink Floydの「Set the Controls for the Heart of the Sun」のパロディであり、当時のバイオグラフィがSFタッチで誤魔化されていたこともあり、Bass-O-MaticはOrbitの気まぐれな遊び心のあらわれなのかも知れない。にもかかわらず、「Fascinating Rhythm」がUKシングル・チャート9位までのぼる成功をおさめたせいか、翌年セカンドアルバムを制作する。スタートレックのダイアローグ・サンプリングやヴォコーダー・ヴォイスは、いかにもスペーシーなサウンドとして聴こえるが、彼の経歴を考えると奇妙に映るダブやファンク、グラウンド・ビートとのハイブリッドな印象が強く残る。とりわけ「Fascinating Rhythm」は、強い音圧でエフェクトによってブリブリ響くベースラインが特徴的。同時期のBomb the Bassとともにポスト・アシッド・ハウスのサウンドがグラウンド・ビートの影響を受けていた典型であり、よいアルバム。
1. In The Realm Of The Senses
2. Set The Controls For The Heart Of The Bass
3. Fascinating Rhythm
4. Rat Cut-A-Bottle
5. Love Catalogue
6. Zombie Mantra
7. Freaky Angel
8. Wicked Love
9. Ease On By
10. My Tears Have Gone
11. In The Realm Of The Senses (Funky Paradise Mix)
12. Fascinating Rhythm (Soul Odyssey Mix)