Vol.III〜Just Right

Volume III: Just Right
セカンドアルバムから2年を経て、満を持して1992年4月にリリースされたSoul II Soulのサードアルバム。アメリカン・マーケットを意識したセカンドに対して、アフロ・ブリティッシュ・ルーツに立ち返ったという印象を与える。シングル・カットされた「Joy」や「Just Right」は、今までとは違って男声ヴォーカルを迎えた新しい挑戦を見せている。注目はそちらに集まるが、ルーツ回帰を印象づけるのは「Storm」や「Intelligence」、「Mood」といった一見目立たない曲目だろう。プリミティブなアフリカン・サウンドを感じさせるそれらに加え、「Direction」や「Everywhere」では、ジャマイカ系移民のアイデンティティを彷彿させる。本作はUKチャートで3位を記録するが、92年という時代はグラウンド・ビートという言葉の魅力は弱まりつつあり、むしろアシッド・ジャズというムーヴメントに飲み込まれるようなところがあった。しかし、それにSoul II Soulが必ずしも迎合しなかったのは、アシッド・ジャズが必ずしもUKブラックのアイデンティティを表象するものではないと見切っていたからなのかもしれない。
1. Joy
2. Take Me Higher
3. Storm
4. Direction
5 Just Right
6. Move Me No Mountain
7. Intelligence
8. Future
9. Mood
10. Everywhere