Remix Trax Vol.1 New Jazz & Soul Issue

音楽雑誌『remix』（1991年3月創刊）企画（小泉雅史、若野ラヴィンによるコンセプト）、MeldacとMelbrain'sのプロデュースによって制作された画期的なCDマガジン。記念すべきその第一弾は「New Jazz & Soul」特集。奇しくも『Jazz Hip Jap』と同じ93年5月21日に発売された。クラブミュージックを積極的に紹介してきた『remix』は、アシッド・ジャズをいち早く取り上げていた。その影響力はとても大きいものだったと言っていい。そこでは当初から「ニュー・ジャズ」（あるいは「ダンス・ジャズ」）と表現されたいたが、「ジャズ」という言葉がジャンルではなくハイブリッドでストリートなアティテュードを示すキーワードになっていると指摘されている。つまり、アシッド・ジャズは音楽のジャンルではなくムーヴメントであり、「レア・グルーヴ、ヒップ・ホップ、ハウスといったムーヴメントを経過し、またアメリカや日本、イタリア、ドイツの都市とネットワークしながら成長してきた姿」なのだ。こうした認識は、アシッド・ジャズを聴き、クラブへ足を運ぶ者にとって、最先端な流行とともにグローバルな紐帯を夢想させる。ともあれ、クラブミュージックにおける編集-発信という回路には、DJというアクターだけでなく（本来の役割ではあるが）雑誌というアクターも介在していたのである。
収録曲もほとんど12インチ・リリースだけのものばかりで「世界初CD化」のレア・ナンバーが並ぶ。たとえば、Barrie K. Shrpeを中心とするグループ、Sons Of Judahの「Peter And The Wolf In Sheeps Clothing」や小林泉美（Mimi Kobayashi）とTony Nwachukwu（後のAttica Bluesのメンバー）によるユニットMoves In Motionの「Thank You (4 That Funky Vibe)」、Chapter+The Verseの「Columbus (Montezma Jazz Mix)」は、なかなか耳に出来るものではない。また、ドープな名曲DJ Krush「Just Wanna Touch Her (Stoned Jazz Mix)」は邦画『TVO』(91)のサウンド・トラック（オリジナルは、めいな Co.）のリミックスで、当時はレアだった（『Reload - The Remix Collection』(2001)に収録される）。
1. Funky Djembe / Snowboy
2. The Scheme Of Things / D*Note
3. Peter And The Wolf In Sheeps Clothing / Sons Of Judah
4. Be There / Moving In The Right Direction
5. Return Of The Emperor / Moving In The Right Direction
6. Thank You (4 That Funky Vibe) / Moves In Motion
7. Columbus (Montezma Jazz Mix) / Chapter+The Verse
8. Revelation / Vannessa Simon
9. Ev'rything'll Be Alright Tomorrow / Pressure Drop
10. Heat / Dana Bryant
11. Promise / Repercussions
12. Just Wanna Touch Her (Stoned Jazz Mix) / DJ Krush
13. Feel Free / The Last Minister