The Rebirth Of Cool

アシッド・ジャズというムーブメントがワールドワイドなものであることを印象づけたコンピレーション・シリーズ『The Rebirth Of Cool』。もっとも、Island Records UK、4th & Broadwayレーベルからのリリース（US盤とのタイトル規格が統一されていないようで、かなり複雑）。1987年から91年までの楽曲をPatrick Forgeらが選曲している。
強烈なインパクトを与えるGang Starr「Jazz Thing」は、もちろん90年のアメリカン・プロダクトであり、アシッド・ジャズがイギリスというナショナルな文脈とは不可分なものであるといった幻想を見事に裏切る。逆に、ジャズをサンプリングして、いかに再構成するかというスタイルがグローバルなものだったということを証明してしまっている。その曲を、Soho「Hot Music (Jazz Mix)」（Pal Joeyプロデュース）やC.F.M.(Crazy French Man)Band「Jazz It Up」と聴き比べるならば、ラップという明確な表現方法の有無は明らかだが、サウンド・プロダクションはよく似ている。もちろん、カナダ出身のDream Warriors「My Definition Of A Boombastic Jazz Style (The Next Definition)」とそれらを比べても同様だろう。ヨーロッパとアメリカは再帰的に引用し合っていたのである。アシッド・ジャズでは、組み合わせ方というよりも組み合わせる素材に斬新さがあったのかもしれない。
1. Jazz Thing / Gang Starr
2. Raise The Flag / X-Clan
3. Open Up Your Mind / MC Mell'O'
4. Hot Music (Jazz Mix) / Soho
5. My Definition Of A Boombastic Jazz Style (The Next Definition) / Dream Warriors
6. Make Way For The Solos / Izit
7. Welcome To The Story (Peace Go With You Mix) / Galliano
8. Step Right On (Vocal Dub Mix) / Young Disciples
9. If The Papes Come / A Tribe Called Quest
10. Joe's Jam / Skatemaster Tate
11. Witness The Drift / Laquan
12. Talkin' All That Jazz / Stetsasonic
13. Introduction To A Caveman / Caveman
14. I Come Off (Southern Comfort Mix) / Young MC
15. Jazz It Up / C.F.M. Band